ADHDが多重債務に直結する、メカニズムと解決策

あなたは今、「なぜ自分だけ借金が増え続けるんだろう?」「どうして衝動的な買い物が止められないんだろう?」と、自分を責めていませんか。

このブログを書いている私自身も二度の任意整理を経験した多重債務者です。かつて私も、自分の借金は「だらしない性格」のせいだと信じていました。

しかし、クリニックでADHDの診断が下りたとき、借金が雪だるま式に増えていった理由が、私の「意志」ではなく「脳の特性」にあったと知りました。

この記事では、ADHDの特性がどのように借金問題に直結するのかを、科学的・心理的なメカニズムから徹底的に解説します。

ADHDの借金問題に直結する「3つの特性」

ADHDの主な症状である「不注意」「多動性」「衝動性」は、私たちの社会生活においては「問題」と見なされがちですが、特に金銭管理においては致命的な影響を及ぼします。

これらの特性が、どのように借金に直結していくのかを具体的に見ていきましょう。

特性1:衝動性の暴走による「止められない出費」

ADHDの中核をなす特性の一つが「衝動性」です。これは、「やりたい」と思った行動を、その結果やリスクを深く考えずに即座に実行してしまう傾向を指します。

お金の管理においては、この衝動性が「浪費」として暴走します。

  • クレジットカード決済のリスク:衝動的に「欲しい」と思った瞬間、それが高額であっても、後先の引き落としや返済計画を深く考えずに「今すぐ買う」という行動に出てしまいます。脳内の報酬系(ドーパミン)が、「待つ」という我慢を許さないのです。
  • 借金・ローンへのハードルの低さ:私自身も学生時代に学生ローンやLINEポケットマネーに手を出したように、お金がない状態でも「今すぐ解決したい」という衝動が働き、借り入れという選択を安易に選びがちです。

この衝動性によって借りたお金は、一時の感情的な充足感をもたらすだけで、根本的な生活の改善には繋がりません。

特性2:実行機能の低さによる「お金の管理不能」

ADHDの人は、脳の前頭前野の機能である「実行機能」が弱い傾向があります。

実行機能とは、計画を立てる、優先順位を決める、実行中の行動を調整する、といった複雑な作業を司る能力です。

お金の管理は、まさに「計画性」が求められる複雑な実行機能の塊です。

  • 予算計画の欠如:月々の収入に対して、家賃、食費、返済額、雑費を割り振るという作業が非常に困難です。「今月はいくら使っていいか」という全体像を把握できず、常に場当たり的な出費を繰り返します。
  • 支払い忘れ・滞納:支払い期日をカレンダーに登録しても、その通知自体を無視したり、後回しにしたりしてしまいます。私の最初の任意整理は、エポスカードの滞納がきっかけでした。この「後回し癖」が、遅延損害金という借金を生みます。
  • 書類の紛失:クレジットカードの明細書や請求書をどこにしまったか忘れてしまい、状況が把握できないまま放置してしまうことも、管理不能に拍車をかけます。

特性3:不注意とワーキングメモリの弱さによる「見えない出費の積み重ね」

「不注意」は、細かい情報を見落としたり、集中力が持続しなかったりする特性です。

これに、情報を一時的に保持・処理する「ワーキングメモリ」の弱さが加わります。

  • サブスクの放置:「無料期間だけ使おう」と登録したサブスクリプションサービスを解約し忘れ、自動更新による「見えない出費」が積み重なります。
  • 契約内容の確認不足:ローンやキャッシングの契約時、「金利」や「返済期間」といった重要な詳細を読み飛ばし、結果として高金利の契約を結んでしまうリスクが高まります。
  • 二重支払い・重複登録:公共料金や返済を「やったつもり」になってしまい、実際には二重に支払ったり、逆に支払い忘れたりといったミスが頻発します。

これら3つの特性が複合的に作用し、ADHDの人は普通の人が気づかないうちに、借金の沼に引きずり込まれてしまうのです。

ADHDの二次障害として借金が加速する心理的メカニズム

借金問題は、ADHDの特性による直接的な行動(浪費)だけでなく、「二次障害」として精神的な側面からも加速していきます。

「失敗した自分」を癒すための買い物依存

ADHDを持つ人は、社会の中で「ミスが多い」「だらしない」といった否定的な評価を受けやすく、自己肯定感が低くなりがちです。

  • 自己肯定感の代償行為:仕事や人間関係で失敗したり、ひどく落ち込んだりしたとき、「何かを買う」「何かを借りて手に入れる」という行為が、一時的に自己肯定感を回復させる手段になってしまいます。
  • ドーパミン報酬の追求:物を買う、サービスを受ける、お金を借りることで一時的に問題が解決したように感じる(または気分が良くなる)と、脳はそれを「良い行為」として記憶します。これが、買い物依存や浪費癖のトリガーとなり、悪循環を生みます。

私の例で言えば、看護師を辞め、転職に失敗した後の無収入期間に、SNSの「稼げる」情報やアイドルの追っかけに大金を使ってしまったのは、まさにこの「失敗した自分を癒すための現実逃避的な投資/浪費」でした。

ストレスや不安からの「現実逃避的な浪費」

私が看護師時代に「適応障害」を患ったように、ADHDの人はストレス耐性が低い傾向があります。

また、金銭的な不安、将来の不安も強く感じやすいです。

  • ストレス解消の手段としての浪費:過度なストレスを感じると、それを解消するために、飲酒、ギャンブル、そして浪費といった刺激の強い行為に走りやすくなります。
  • 「今が楽しければいい」という思考:将来の不安が大きいがゆえに、「どうせ自分はうまくいかない」と諦めの気持ちが強くなり、「今、この瞬間だけでも楽しみたい」という刹那的な思考に陥ります。これが、さらなる借金を生む引き金となります。

多動性・注意欠陥が引き起こす「仕事・収入の不安定化」

借金は支出の問題だけでなく、収入の問題でもあります。

  • 仕事の継続困難:ADHDの特性(不注意、人間関係での衝突、実行機能の低さ)は、看護師、エンジニア、CRCと転職を繰り返す原因となりました。
  • 無収入期間の発生:転職の度に無収入期間が発生し、生活費を補填するためにいろんなところからお金を借り、新たな借金をせざるを得なくなります。
  • 収入に見合わない支出:職を転々としているにも関わらず、衝動性によって支出のレベルを下げられないため、収入と支出のバランスが崩壊します。

このように、ADHDの特性は「支出を増やし」、同時に「収入を不安定にさせる」という両側面から借金問題を加速させてしまうのです。

「なぜ」を知った上で取るべき具体的な第一歩

「なぜ借金が増えたのか」というメカニズムを知った今、あなたは正しい対処法を取ることができます。

重要なのは、ADHDの特性を理解した専門家と連携し、対処法を体系的に進めることです。

自己理解:借金がどの特性から来ているか特定する

まず、あなたの借金がADHDのどの特性から来ているのかを冷静に分析します。

借金の原因該当する特性対処法の方向性
衝動買い、散財衝動性クレジットカードの利用停止、デビットカードへの切り替えなど「アクセス制限」を行う。
支払い忘れ、滞納不注意、実行機能の低さ支払いの「自動化」を徹底する。
計画性のない借入実行機能の低さ借りる前に、専門家(弁護士や支援者)に相談するルールを設ける。
ストレスによる浪費衝動性、感情調整の困難買い物以外のストレス解消法(運動、安全な趣味)を見つける。

「お金のプロ」ではなく「ADHDの専門家」と連携する重要性

従来の借金解決法は「意志力で節約しろ」という根性論になりがちで、ADHDの特性を持つ人には効果が薄いどころか、自己肯定感をさらに下げる原因になります。

最初に頼るべき専門家は、以下の2種類です。

  1. 精神科・心療内科:ADHDの診断・治療を受け、服薬によって衝動性をコントロールする。これが浪費という行動のブレーキになります。
  2. 就労移行支援事業所:特性理解に基づいた仕事の探し方、お金の管理の方法を、専門のスタッフと一緒に訓練できます。私自身もこれを利用し、フルリモートという最適な環境を見つけることができました。

あなたの「なぜ」は解決できる。

あなたの「なぜ」は解決できる

衝動性、実行機能の弱さ、不注意。これらの特性のメカニズムを知れば、対処法はきっと見つかります。

特性理解が借金からの脱却を導く:自分の特性に合わせて「仕組み」を変えることが、借金解決への最短ルートです。

あなたは一人ではない:私も二度の任意整理とADHDという困難を抱えながら、再出発を目指しています。このブログが、あなたの「トリセツ」として役立つことを願っています。

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